大人にとって身近な飲み物の一つであるコーヒー。
一概にコーヒーと言っても、品種や栽培地域、加工方法によってさまざまな味わいをもたらしてくれます。
コーヒーをより深く楽しみ、自分に合った豆を選ぶためにはどのような知識が役立つのでしょうか。
この記事では自分に合ったコーヒー豆を選ぶときに役立つ、コーヒーの種類と特徴をまとめています。
どの品種を選ぶ?
コーヒー豆の品種は非常に多く、主要なものにアラビカ種とロブスタ種があります。
それほかにも多くの地域固有の品種が存在します。例えば、エチオピアのヘリルーム種、コロンビアのカトゥーラ種などがあります。
これらの品種はそれぞれ異なる風味があり、コーヒーの味わいに大きな影響を与えます。
ここでは主要なものとしてアラビカ種とロブスタ種について解説します。
アラビカ種
アラビカ種は、繊細で複雑な風味が特徴。
しばしば甘み、フルーティーさ、そして明るい酸味が感じられます。
アラビカ種のコーヒーは、香り高く、バランスのとれた味わいが楽しめるため、高級コーヒーとして広く評価されています。
高地(標高約600-2000メートル)での栽培が適しており、涼しい気候を好みます。そのため、エチオピア、コロンビア、ケニア、コスタリカなどの高地が主な生産地です。
ロブスタ種
ロブスタ種は、アラビカ種に比べて苦味が強く、酸味が少ない傾向にあります。
また、一般的にはフルボディで力強い風味を持ち、粒子が粗い感じがします。
エスプレッソやインスタントコーヒーなど、より強い味が求められる製品によく使用されます。
また、生産コストが低く、量産に適しているため、一般的な市場や大量消費向けの製品に広く使用されています。
低地でも栽培可能で、高温多湿な環境を好むため、ベトナム、ブラジル、インドネシアなどの国々で多く栽培されています。また、病気に強いため、アラビカ種に比べて栽培が容易です。
以上のような特性から、一般的に「コーヒー好き」としてコーヒーにこだわる方はアラビカ種の豆を選ぶことが多いです。
どの産地の豆を選ぶ?
コーヒー豆はその栽培される地域の気候、土壌、標高によって味わいが変わります。
これらの特徴は「テロワール」と呼ばれることもあり、ワインの世界で言うところの産地の特性に似ています。
ここでは、世界の主要なコーヒー生産地域とそれぞれの特徴について説明します。
1. 中央アメリカ
- グアテマラ、コスタリカ、ニカラグアなどが含まれます。
- 高地で栽培されることが多く、明確な酸味と果実味、そしてしっかりとした甘みが特徴です。
- グアテマラのアンティグア地方のコーヒーは、豊かなチョコレートやナッツの風味が楽しめます。
2. 南アメリカ
- ブラジルは世界最大のコーヒー生産国で、その生産量の大部分を占めます。低酸味で、ナッツやチョコレートの風味が強く感じられます。
- コロンビアはアラビカ種が主で、フルーティーな酸味とキャラメルのような甘さが特徴です。
3. アフリカ
- エチオピアはコーヒーの原産地とされ、非常に独特のフローラルやベリー系の風味が特徴。ナチュラル(日干し)処理された豆は果実味が際立ちます。
- ケニアは高い酸度と強いフルーツフレーバー、しばしばブラックカラントやトマトのような風味があります。
4. アジア
- インドネシアはジャワ島、スマトラ島、スラウェシ島が主な生産地。スマトラのマンデリンなどはハーブやアース(土っぽい)な風味、フルボディが特徴です。
- ベトナムはロブスタ種の生産が多く、世界第二位のコーヒー生産国。主にインスタントコーヒー用の原料として使われます。
5. オセアニア
- パプアニューギニアのコーヒーはしばしば新鮮なフルーツのような風味とマイルドな酸味が感じられます。エキゾチックでバランスの良い味わいが特徴。
以上のように、コーヒー豆も栽培される国や地域によって味わいがさまざまです。
苦味のあるコーヒーらしいコーヒーが好みの方はブラジルやコロンビアなどの南アメリカ地域、
フルーティーな風味を楽しみたい方はエチオピアやケニアなどのアフリカ地域など、
ある程度自分の好みに近そうな地域の豆を選んでみると良いでしょう。
どの加工方法を選ぶ?
コーヒー豆の加工方法にはナチュラル、ウォッシュド、ハニープロセスなどがあり、これらの方法によっても風味が大きく変わります。
1. ナチュラル(ドライ)加工
- 特徴: コーヒーの果実(チェリー)を丸ごと天日干しにする方法です。この加工法では、果肉を取り除く前に、果実全体を乾燥させます。
- 風味: ナチュラル加工の豆は、フルーティで甘く、しばしばワインのような風味や発酵したような風味を持つことがあります。果実味が強く、ボディ感も増します。
- 適した地域: 水資源が限られている地域でよく用いられ、エチオピアやブラジルで一般的です。
2. ウォッシュド(ウェット)加工
- 特徴: 収穫したコーヒーチェリーから果肉を機械的に除去した後、水で洗って発酵させ、さらに水洗いして清潔な豆のみを乾燥させる方法です。
- 風味: ウォッシュド加工のコーヒーは、クリーンで明確な酸味と繊細な風味が特徴です。フルーティさよりも、酸味や香りが際立ちます。
- 適した地域: 水資源が豊富で、湿度管理が可能な地域で行われます。コロンビアや中央アメリカの高地が代表的です。
3. ハニープロセス(セミウォッシュド)加工
- 特徴: 果肉の一部を豆に残した状態で乾燥させる方法です。果肉の量によって「ホワイトハニー」、「イエローハニー」、「レッドハニー」、「ブラックハニー」と分類されることがあります。
- 風味: ナチュラル加工とウォッシュド加工の中間的な風味を持ちます。甘みと酸味のバランスが良く、ナチュラル加工よりはクリーンな味わいです。
- 適した地域: 水資源が限られ、一定の湿度管理が可能な地域で採用されます。コスタリカや他の中央アメリカの国々で人気です。
どの焙煎度合いを選ぶ?
焙煎の度合いによってもコーヒー豆の味は大きく変わります。ライトローストは酸味が際立ち、オリジナルの風味が強く出ますが、ダークローストは苦味が強くなり、焙煎された風味が前面に出ます。これによって、同じ豆でも全く異なる味わいのコーヒーを楽しむことができます。
1. ライトロースト(浅煎り)
- 色: 薄い茶色
- 特徴: 高い酸味とオリジナルの風味が保持されます。焙煎のフレーバーは少なく、コーヒー本来の味が強調されます。
- 風味: フローラルさやフルーティさなど、原産国の独特の特性が感じられます。
- 適用: 主にエスプレッソ以外の抽出方法で使用されます。
2. ミディアムロースト(中煎り)
- 色: 中茶色
- 特徴: 酸味と苦味のバランスが取れ、焙煎による風味も感じられるバランスの良い状態です。
- 風味: キャラメルやナッツのような風味が加わりつつ、原産地の特徴もある程度感じられます。
- 適用: オールラウンドに使える焙煎度で、フィルターコーヒーやエスプレッソにも適しています。
3. ミディアムダークロースト(中深煎り)
- 色: 濃い茶色で、油分が豆表面に見られ始めます。
- 特徴: 焙煎の苦味と深いアロマが前面に出ますが、豆の元の風味は少なくなります。
- 風味: スパイシーやビターなチョコレートのような風味が増します。
- 適用: エスプレッソに特に適しており、濃厚な味わいが求められる場合に好まれます。
4. ダークロースト(深煎り)
- 色: 黒に近い茶色で、油分が豆全体に広がります。
- 特徴: 強い焙煎味と苦味が支配的で、原産国の風味はほとんど感じられなくなります。
- 風味: 非常に強いビターな味わいで、煙や焦げたような風味が感じられます。
- 適用: イタリアンローストやフレンチローストなど、非常に強い味わいを好む場合に使用されます。
どの飲み方を選ぶ?
最終的なコーヒーの風味は、抽出方法によっても大きく左右されます。
以下に代表的な方法をいくつか紹介します。
1. ドリップコーヒー(ペーパーフィルター)
- 熱湯を粉砕したコーヒー豆に注ぎ、ペーパーフィルターを通してカップに滴下させる方法です。
- 特徴: クリアでクリーンな味わいが特徴。油分や微細な粒子がフィルターによって除去されるため、純粋なコーヒーの風味が楽しめます。
2. フレンチプレス
- 粗挽きのコーヒー豆とお湯を混ぜ、数分間浸した後、プレス型のフィルターで押し下げて豆を分離します。
- 特徴: コーヒーの油分や風味成分がより多く抽出されるため、リッチでフルボディな味わいが特徴です。
3. エスプレッソ
- 高圧の蒸気を細かく挽いたコーヒー豆に通す方法で、非常に濃縮されたコーヒーを抽出します。
- 特徴: 濃厚で強い風味、クレマ(表面のクリーミーな層)が特徴。カプチーノやラテなど、他のコーヒードリンクのベースとしても使用されます。
4. エアロプレス
- 細かく挽いたコーヒーとお湯を混ぜ合わせ、特定の時間後にエアープレッシャーを使ってフィルターを通して抽出します。
- 特徴: クリーンでフルーティな味わいが特徴で、抽出時間が短いため酸味が強調されやすいです。
5. サイフォン
- 熱で水蒸気圧を利用して水を上部の容器に移動させ、コーヒーと混ぜた後、冷却により抽出液が下部容器に戻る方式です。
- 特徴: 独特な装置を使った視覚的な楽しみがあり、非常にクリアな味わいのコーヒーが抽出されます。
6. コールドブリュー
- 粗挽きのコーヒー豆を冷水に長時間浸すことでゆっくりと抽出します。
- 特徴: 低温で抽出するため、酸味が抑えられ、まろやかで甘味が強調された味わいになります。
7. モカポット
- 水蒸気圧を利用して作る、ストーブトップ用のエスプレッソメーカー。
- 特徴: エスプレッソに近い濃厚で力強い風味が得られ、使い方が簡単で家庭でも楽しめます。
コーヒーの選び方まとめ
- コーヒーの味にこだわりたいなら品種は「アラビカ種」
- 産地はコーヒー豆の特徴がもっとも現れやすい部分。それぞれの特徴を押さえた上で豆を選んだり、飲み比べてみる。
- フルーティーさやボディ感のあるコーヒーが好みなら「ナチュラル加工」、スッキリクリアな味わいが好みなら「ウォッシュド加工」
- 爽やかな風味が好みなら浅煎り、しっかり苦味のあるコーヒーが好みなら深煎り、バランス重視なら中浅煎り〜中深煎り。
- 抽出方法もさまざまなので、まずは一般的なペーパードリップから、少しずつ器具を揃えて楽しんでみましょう。
マルエリ珈琲店ではさまざまな味わいのコーヒー豆をご用意しています。
ご注文を受けてから焙煎してお届けするので、ちょうど飲み頃の香り豊かなコーヒーをお楽しみいただけます。
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