世界中で愛されるコーヒー。
その香りと味わいは多くの人々にとって欠かせないものです。
実は、コーヒーは単なる嗜好品ではなく、さまざまな健康効果があることが研究で明らかになっています。
コーヒーの驚くべき健康効果を10選ご紹介します。
抗酸化作用が豊富
私たちの体内では、代謝によって「活性酸素」が発生しますが、
活性酸素はがんの一因や生活習慣病の引き金になると言われています。
コーヒーには、この活性酸素の影響を抑制してくれる多くの抗酸化物質が含まれています。
代表的なものの一つがポリフェノール。強い抗酸化作用が特徴です。
このポリフェノールはレギュラーコーヒー(コーヒー豆から抽出して飲むコーヒー)とインスタントコーヒー(お湯に溶かして作るコーヒー)でも含有用が変わります。
レギュラーコーヒーにはインスタントコーヒーの約5倍のポリフェノールが含まれているため、抗酸化作用を期待するならレギュラーコーヒーの方がおすすめです。
脳機能の向上
カフェインは脳の神経伝達物質に影響を与え、記憶力や集中力を高める効果があります。これにより、認知機能の向上が期待できます。
2021年に発表された、1万3757人を対象にしたコーヒー摂取と認知症リスクとの関係についての研究結果では、
コーヒー摂取量が多いほど認知症リスクが低くなり、特に1日2杯以上のコーヒーを摂取した人の認知症リスクは、ほとんど飲まなかった人の約50%となっていたと報告されています。
疲労回復
カフェインは中枢神経系を刺激し、疲労感を軽減します。
特に運動後にコーヒーを摂取することで、疲労回復が促進されることが知られています。
例えば、2021年の研究では、コーヒーと適量の炭水化物を組み合わせて摂取することにより、高強度のサイクリングエクササイズの後で筋グリコーゲンの再合成が促進される(=筋肉の回復が早まる)ことがわかっています(『Nutrients』)
代謝の促進
コーヒーに含まれるカフェインは代謝を促進し、脂肪燃焼を助けます。ダイエット中の方には嬉しい効果ですね。
「International Society of Sports Nutrition誌」に掲載された研究論文では、カフェインが運動中の脂肪燃焼能力を高めることが示されています。
25歳から39歳の健康で運動能力の高い男性15人を対象に、プラセボ(偽薬)、あるいはカフェインを摂取してからエクササイズを行う実験をしたところ、
カフェインを摂取した場合は、プラセボを摂取した場合に比べて、11%から13%多くの脂肪を燃焼させることができたそうです。
ただし、砂糖やミルクを入れるとカロリーがアップするので飲みすぎると逆効果になることも。
ダイエットにはブラックコーヒーが良さそうです。
肝臓の健康を守る
コーヒーの摂取は、肝臓の健康を守ることにも繋がります。
特に肝硬変や脂肪肝のリスクを減少させる効果があるとされています。
少し古い研究ですが、1990〜2004年までに40~69歳の男女約9万人を対象に行った追跡調査では、
コーヒーをほとんど飲まない人と比べ、ほぼ毎日飲む人では肝がんの発生率が約半分に減少し、
1日の摂取量が増えるほど発生率が低下し、
1日5杯以上飲む人では、肝がんの発生率は4分の1にまで低下していました。
また、発生率の低下は男女に関係なく見られていました。
どうしてコーヒーをよく飲んでいる人で肝がんの発生率が低くなるのかについては、実はまだよくわかっていません。
- コーヒーには炎症を和らげる作用があり、肝炎の進行を防ぐことによって、肝がんを予防する可能性
- コーヒーに含まれるクロロゲン酸をはじめとするたくさんの抗酸化物質が、肝臓のがん化を防御する方向に働いている可能性
などの理由が考えられます。
また、コーヒーと同じくカフェインの多く含まれている緑茶の場合、肝がん発生率の低下がほとんど認められなかったことから、カフェインというよりは、コーヒーにのみ含まれている別の成分が関与している可能性があります。
糖尿病のリスクを低減
コーヒーを定期的に飲むことで、2型糖尿病のリスクが低減されることが研究で示されています。これは、コーヒーに含まれる成分がインスリン感受性を高めるためと言われています。
国立国際医療研究センターが発表した研究では、1日に1〜3杯のコーヒーを飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて、2型糖尿病を発症するリスクが男性で17%、女性で38%低下することが分かっています(40〜69歳の日本人約5万6,000人を対象)。
心臓病の予防
適度なコーヒー摂取は、心臓病のリスクを低減させる可能性もあります。
欧州予防心臓学ジャーナルによって2022年にオンラインで発表された最近の観察研究では、
毎日2〜3杯のコーヒーを飲んだ人は、飲まなかった人よりも心血管疾患や早期死亡のリスクが低いことが報告されています。
はっきりとした因果関係はわかっていませんが、コーヒーの抗酸化作用や抗炎症作用によるものと考えられます。
一部の癌リスクを低減
最近の研究では、コーヒーは大腸がん、乳がん、肝臓がん、子宮内膜がんなど、いくつかの種類のがんのリスクを低下させる可能性があることがわかっています。
ただし、別の研究では、とても熱いコーヒーや紅茶などの飲み物を摂取すると、食道がんのリスクが高まる可能性があることも示唆されています。
あまりに熱いコーヒーは避けるのが良さそうです。
精神疾患の予防
コーヒーを飲むことで、うつ病やアルツハイマー病などの精神疾患のリスクが低減されることが示されています。
米ハーバード公衆衛生大学院による研究によると、米国人女性5万人を10年間追跡した結果、コーヒーを1日4杯以上飲む女性のうつ病リスクが20%減少することがわかりました。
これはカフェインにドーパミンの分泌を促進してやる気を出しやすくする作用があることや、
コーヒーの香りにストレスを軽減させる効果があるためと言われています。
ただしうつ病やパニック障害、不眠症は睡眠時間と関連性が高いため、カフェインに対して感受性が高い人は飲み過ぎを避けましょう。
パーキンソン病のリスク低減
脳の異常によって体の動きに障害が現れる「パーキンソン病」も、コーヒーによって発症リスクを低減できるかもしれません。
コーヒーを飲まない人に比べて飲む人ではパーキンソン病発症のリスクが有意に低下し、
1日にコーヒーを3杯程度飲むことで最もリスクが低下することが報告されています。
これはカフェインにドーパミンニューロンを保護する作用があるためと考えられています。
参考資料
https://itaya-naika.co.jp/blog/detail/コーヒーと糖尿病の関係、予防効果や摂取量について/74
https://www.nestle.co.jp/sites/g/files/pydnoa331/files/asset-library/documents/nhw/interview15.pdf
コーヒーには多くの健康効果があるため、適度に摂取することで日常生活の質を向上させることができます。ただし、過剰な摂取は逆効果になることもあるため、適量を守ることが重要です。
健康的なコーヒーライフを楽しみましょう!
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